好きなお酒は無水エタノールです

 実家を出たのが去年の7月だったので、およそ1年半とちょっと家出していたことになる。人として終わっていること以外はあまり欠点のないルームメイトと西日暮里でルームシェアをしてよい経験になったので、今度実家に戻るにあたって家出中の総括をしていこうと思う。

① 親は偉大
親は偉大である。初めて一人暮らしをした者は皆思い当たるだろうが、情けないことに私はこの年になるまで気づかなかった。こと私は家出した手前生活費を自分で稼ぐ必要があり、家事と勉学との両立は大変であった(これは嘘で、両立できていませんでした。来年度は頑張ります)。

② 世界は広い
 なんだかんだ、実家にいれば見えなかったものや知れなかったものに触れられた経験は大きい。交友関係は広がったし、自身のスキルアップには少なからず良い影響があった。ただ一番良かったのは自身と親との関係を客観視できたことであろうか。正月家に帰った時、父は癌を患い、母は以前に増して歩行に困難を抱えるようになっていた。以前なら両親の姿を見て強い不快感と拒絶を示していた私もなんだか憐憫と深い愛情を感じずにはいられなかった。孝行は親が生きている間にしたほうが良い。

③ 雀力・棋力向上
ルームメイトや友人に麻雀強者たちが多かったのは幸いした。家出中の主な食い扶持は雀荘でのアルバイトだったから、麻雀の強さは来月の生存を左右する。何とか死なずに済んだのはルームメイトから三人麻雀のイロハを何から何まで教わったおかげである。人として完全に終わっているM君にもここだけは感謝している。ほかのすべての要素は嫌われるところしかないのでさっさとルームシェアを解消したい。
あと何故か将棋と囲碁がうまくなった。こと前者の伸びは著しく初めて半年程度で有段レベルになることができた。一生の趣味にできるものだからこれからもやると思う。

④ 俺だけの城
実家に彼女は連れ込めない。広いお屋敷ならまだしも都内の激狭マンションである。その意味でも自分の家があることはよかった。



 まあ二留してしまったのは痛いが、これも人生において必要な出費だったと考える。別にその間まったく収穫がなかったわけではないし、そもそも出世だの生涯賃金などに興味はないし、そもそも私は人生をプラン通りに進めるよりも刹那的な快楽に身をゆだねるという哲学を持っている。破滅すると悲しむ人がいるのでバランスは考えなければならないが。
 来年は進級しないととうとう退学らしいので本気で頑張らなければならない。

日記20191208

飲酒は悪だと知りながら、出世のためなら行ってしまう。今日は重役が結構来ていたのでめっちゃ飲みニュケーションしてしまった。

 

自分はかなり先輩と距離を詰めるのが早い人間だと思っている。僕の特殊性というのはそれだけでは無いけど、僕はそういう生き方や付き合い方をして受け入れてくれる人とだけ上手くやってきたし、そうでない人とは距離をとる、これだけで生きてきた。コミックマーケットという場所はいろんな変人が集まってる場所だ。

 

このやり方が今後通用するのか問われる。そう高校の先輩でスタッフの先輩でもある人に言われた。

 

俺は絶対に成功する。

 

絶対。

 

限界近いので寝ます……ごめんなさい。

 

あさからコミケのことしかしてないので書くことがあんまりないというのもある。守秘義務ね。守秘義務

東海道線、性癖開示、国破れて山河在り

国境の長いトンネルを超えてなお、そこは静岡であった。東海道線の熱海~函南間には丹那トンネルという全長約8キロのトンネルがあって、並行して走る東海道新幹線の新丹那トンネルとともに、熱海の休火山を貫いている。函南というのは熱海と三島の中間にある小さな駅で、そのせいか私が乗った列車はわずか三両編成であった。


 熱海を出るとすぐにトンネルに入って、そして激しい揺れがやってくる。調べればこのトンネルの開通は戦前だそうだが、そのせいかもしれない。ぐわんぐわん揺られる車内の隅の席で、暇つぶしに持ってきた短編集も読み切ってしまった私は何をするでもなく宙を見つめていた(丹那トンネルでは携帯の電波は届かないし、そうでなくても旅先のことを考えて充電を温存しておきたかったのだ)。


 唐突にガラリと音を立てて、すぐ隣の貫通扉が開いた。こんな閑散とした車内でわざわざ座席を求めて車両間を移動する人間はいないだろうし何事かと思うと、乗務員が入ってきた。その人が特に何をしたというわけではないのだけど、とても印象的だったのはその容姿が極めて中性的で、かつ美しくあったことである(考えてみれば中性的というのは男性的でも女性的でもない中間の性質をいうのであって、それに「非常に」という副詞でもって修飾するのは誤っているような気がしないでもない)。その人が車内を往復してくる間、目だけでずっと姿を追っていた。おそらく何時間穴の開くほど見つめても、その人の顔立ちや体つきが男性の、あるいは女性のものであると感じられることはなかったであろう。


 どこでそういう趣味になったのか知らないが、既存の男性性・女性性への固定観念から逸脱した、ある意味で反規範的なモノが私は好みで、例えばTSFであったり、異性装であったり、同性愛であったり、色々と。


 車内の見回りを終えた乗務員が最後尾の車両へと帰っていく。貫通扉を開けて去っていく際に、一瞬だけ目が合って、心底嫌そうな顔をしていた、ような気がした。貫通扉は電車が風を切る音に負けないくらい大きな音を立てて閉まった。
 電車はもうすぐトンネルを抜けて函南に到着する。名古屋まではまだ長い。どこかでお昼ご飯を買わなくては。